Skip to main content
Babel Street
Back to Blog
Financial Services

真実を明らかにする:AIとOSINTを活用した保険金詐欺の発見

By Tom Paulson

真実を明らかにする:AIとOSINTを活用した保険金詐欺の発見

米国では、保険金請求の約20%が不正と推定されています[1]。こうした詐欺による年間損失額は約3,086億ドルにのぼり[2]、保険会社はそのコストを契約者に転嫁しています。USI Insurance Service社の試算では、詐欺によって1契約あたり年間約900ドルも保険料が上昇するとされています[3]。

最も被害が大きいのは、年間1,050億ドルを超える医療保険金請求詐欺(米国の公的医療保険制度〈メディケア/メディケイド〉を悪用した詐欺を含む)です[4]。このほか、自動車保険、住宅保険、労災保険でも甚大な被害が発生しています。

さらに近年はデジタル技術の進展により、詐欺の手口も高度化しています。詐欺師がオンラインで共謀して自動車事故を仕組んだり、請求書作成業者と連携して偽の労災請求書や自動車修理見積書を作成したりする事例が増えています。データ侵害やフィッシングで盗んだ個人情報を利用し、他人名義で虚偽の保険金請求を行うケースもあります。

こうした技術的進歩に伴い、詐欺の発生件数は急増しています。 Reinsurance Group of America の「2024年グローバル保険金詐欺調査」によれば、回答した保険会社の35%が前年より詐欺案件が増加したと報告しています[5]。

このため、保険会社の調査員やアナリストは、不正請求の検知や不当な支払いの防止という、ますます大きな課題に直面しています。

こうした課題に対抗する手段として注目されているのが、オープンソースインテリジェンス(OSINT)です。公開情報(PAI)や商用情報(CAI)を自動的に収集・分析し、詐欺の兆候を把握する技術です。

AI搭載のリスクインテリジェンスプラットフォームは、ソーシャルメディア監視(「ソーシャルディスカバリー」)を通じて、詐欺につながる投稿や会話を可視化します。さらに、ソーシャルメディア以外のPAI/CAIも広範に分析し、不審なパターンを発見します。

仕組み:ソーシャルメディアから見えてくる詐欺の兆候

驚くべきことに、詐欺師はしばしば意図せず自らの犯罪を示す情報をオンラインに投稿しています。“労災を騙した”と明言することはほとんどありませんが、例えば労災補償を受けているはずの人物が水上スキーを楽しむ投稿をしていれば、矛盾する行動として疑われます。

同様に、1万ドルのダイヤモンドリングの盗難を申告した人物が、オンラインマーケットで似たリングを販売しているケースもあります。ソーシャルメディア監視は、このような矛盾点を発見する強力な手段となります。

またリスクインテリジェンスプラットフォームは、裁判記録、企業登記、不動産情報、専門免許、政府データ、主要メディアなども照合します。
例えば:

  • 同一人物が6件もの転倒事故による訴訟を起こしている
  • ハリケーン後に相場以上の価格で修理を請け負った業者が、住宅所有者と繋がっている
  • 同じ交差点で異常に多くの事故が発生しており、当たり屋が存在する可能性がある

といった事実を浮き彫りにできます。

組織的な詐欺や窃盗の把握

詐欺の多くは単独犯ではなく、グループによる組織的な犯罪です。医療請求詐欺では、偽の「患者」、医師、サービス提供者が共謀することが一般的です。このような繋がりを解明するには、ソーシャルネットワークを可視化し、関係性をマッピングするリスクインテリジェンスが有効です。

また窃盗組織も保険会社に大きなダメージを与えています。特定車種の盗難方法を示す動画がソーシャルメディアで拡散したことで、ギャングによる盗難が急増した事例もあります[6]。全米保険犯罪局によれば、貨物盗難は2024年から2025年にかけて27%増加しています[7]。こうした窃盗の多くは国際的な組織犯罪グループが関与しており、オンラインで身元を偽装し、配送経路を変更して貨物を奪っています[8]。

ソーシャルディスカバリーは、こうした組織の存在を早期に察知し、保険会社が顧客に対して適切な注意喚起を行うのにも役立ちます。

Babel Street に何ができるのか

AI搭載のBabel Streetリスクインテリジェンスプラットフォームは、数千ものPAI/CAI情報源を継続的に監視し、詐欺に関連する情報が見つかった際に自動で調査員にアラートを送ります。日常語や隠語など詐欺師が使う表現も検知し、200以上の言語で公開された情報を検索・翻訳できる点が特徴です。

さらに、一般的な検索エンジンでは見つからないディープウェブやダークウェブも検索可能です。そこでは保険詐欺や窃盗グループが匿名性を利用して活動しており、通常では入手できない情報を取得できます。

Babel Street の検索は匿名で実行されるため、調査員の身元や組織のインフラが危険にさらされることはありません。強化されたプロキシネットワークにより、世界中のサイトへ安定してアクセスできます。

さらに、詐欺組織の解体を支援するため、ソーシャルネットワークや関係性を自動でマッピングする機能も備えています。これにより、隠れた繋がりや影響力の大きい人物を可視化し、複雑なネットワーク構造を明確に把握できます。

まとめ

デジタル技術の発達により、犯罪者は新たな手口で保険詐欺や窃盗を行うようになっています。こうした脅威に対抗するには、最新のリスクインテリジェンスを活用し、保険会社自身と契約者を守ることが欠かせないといえるでしょう。