国境警備
AI とアイデンティティ照合テクノロジーにより、国境警備と監視リストのスクリーニングが向上し、リスクを軽減しながら合法的な取引と渡航が促進されます。

国境警備とは
米国国土安全保障省 (CBP) は、国境警備について「合法的な取引と渡航を促進しながら、武器、薬物、密輸品、不法な入出国から国境を守る」行為と定義しています。[1] 英国国境軍 (UKBA) は、国境警備を「人や物の合法的な行き来を促進すると同時に、有害となる人および物の英国への入国を防ぐことにより、国境の安全を確保し、国の繁栄を促進する」ためのあらゆる行動である。そして、[2] 南アフリカでは、「国境警備は国境を超える人や物の行き来を規制および管理するためのあらゆる機能が含まれる、包括的なプロセス」であると定義しています[3] インドでは、国境管理局が「国境地域の開発、コミュニケーション、近隣諸国との調整、およびインドの国益を高めるためのプログラム」を追求しています。[4]
表現はそれぞれ異なりますが、定義の意図は一貫しています。現在、世界中の国々が国境を国の玄関とみなしています。各国は、圧倒的多数である正当な目的で入国を希望する訪問者が簡単に渡航できるようにしたいと考えています。観光業や国際商取引への依存度が高まっている国の経済にとって、こ人や物のスムーズな流れを確保することは非常に重要です。
それでもなお、各国政府は、危害を加えようとするごくわずかな人々や企業から国境を守るために、膨大な時間と費用を費やしています。テロリスト、人身売買業者、麻薬密売人、武器商人、偽造品の販売業者などは、国にとってリスクとなり、これらはすべて、グランドキャニオンやビッグベン、野生動物保護区、タージマハルを訪れる家族たちと一緒に入国を試みます。
統合管理による国境警備の改善
国境警備機関は、正当な通過を促進すると同時に国家安全保障を向上させる方法として、統合国境管理 (IBM) にますます目を向けるようになっています。
多くの国では、連邦政府から地方政府まで、さまざまな機関が陸路、空港、海上の国境の安全に何らかの役割を果たしています。IBMは、国境関連のシステム、プロセス、人員、データの統合に向けた新しいアプローチです。それには、サイロ化しがちな関係機関の大規模な協力が必要となります。このような協力は、ほとんどの場合、1つの国の政府の異なるレベルで活動しているさまざまな機関の間で行われます。ただし、近隣諸国同士で協力する場合もあります。
名前をより的確に照合し、オープンソースインテリジェンス (OSINT) から情報を集めるための新たなテクノロジーは、IBMの取り組みに貢献します。これにより、国境に関するさまざまな機関の職員が情報を共有し、人々や企業をより効率的にスクリーニングできるようになります。
データ共有は、統合国境管理への第一歩です。


誰が統括すべきか
多くの場合、各国は国境警備の責任を多数の異なる機関に分散しています。米国の例を見てみましょう。2001年9月11日の同時多発テロ攻撃を受けて統合に向けた取り組みが強化された後も、国境警備には依然として次の機関が関わっています。
連邦機関: 米国税関・国境警備局は、国内の328か所の入国地点の安全確保および運用の円滑化を担い、毎年約3億人の訪問者を処理しています。[5] 国務省は、年間約700万件の非移民ビザを含むビザを発行しています。[6] さらに、国防総省、司法省、連邦捜査局に加え、移民税関捜査局、米国国境巡視隊、連邦緊急事態管理局、運輸保安局などの国土安全保障省の機関もこの取り組みに関わっています。
州機関: 国境警備および税関取締に関与している州機関には、州警察、国家警備隊、州の公共政策局などがあります。
地方および地域機関: これらには、郡保安官事務所、地方自治体の警察署、地域の港および空港当局などが挙げられます。
税関と国境警備にこのようなアプローチをとっているのは、米国だけではありません。英国では、27以上の異なる機関が国境管理において何らかの役割を果たしています。[7] これらには、安全保障、政策、保健、移民、税関当局が含まれます。
国境警備をもっと知る

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国境警備の妨げとなるレガシーテクノロジー
現在多くの国境警備組織で使用されているテクノロジーが、IBMプロセスの発展の妨げとなっています。最悪の場合、技術的な制限により国境の職員が日常業務を効果的に遂行できないケースもあります。
なぜそのような状況が起こるのでしょうか?
アイデンティティ照合について考えてみましょう。国境警備やその他リスクの高いアイデンティティ照合では、検出漏れが壊滅的な結果をもたらし、テロリストやその他の犯罪者の入国につながる可能性があります。一方、誤検出 が多すぎると、業務が必要以上に遅くなり、正当な貿易や観光への影響が出ます。
国際的な犯罪者や犯罪ネットワークがより高度化している世界で、このような判断を迅速かつ大規模に行うために、国境警備機関は最先端のアイデンティティ照合とOSINT機能を必要としています。
既存のテクノロジーのいくつかの欠点と、最新のアイデンティティ照合とOSINTプラットフォームがそれらを克服するうえでどのように役立つかを見てみましょう。

不十分なアイデンティティ照合能力
非常に多くの税関や国境警備機関の職員が、ウォッチリストによるスクリーニングなどで、構造化されたテキスト内の名称を照合する旧式の検索プラットフォームを使用しています。完全に、またはほぼ完全に一致する結果のみを返す検索プラットフォームは、一般的な検索には十分ですが、最適なアイデンティティ照合を行うには対応範囲や速度が十分ではありません。また、その多くは限られた数の言語にしか対応していないため、翻訳あるいは音訳された名称、ラテン文字以外の文字で書かれた名称との照合が困難なうえ、別名、ニックネーム、スペルミス、敬称、不正確な名前を見つけることができません。また、バイナリプロセスは世界中の異なる地域で使用されているさまざまな名前の規則にも対応できません。すべての国でファーストネーム/ミドルネーム/ラストネームの表記形式に従っているわけではありません。
このような不備により、国境の機関で多くの検出漏れが発生し、犯罪者や密輸品の入国を防ぐことができません。逆に、誤検出が多すぎると、これらのシステムで不必要なセキュリティ警告が発生します。国境の機関がこれらの不必要な警告の調査に時間を費やさなければならず、正当な旅行者や物資の移動に遅れが生じます。
AIを活用した(完全一致ではない)あいまい照合は、国境警備の専門家が構造化テキストのアイデンティティ照合という課題を克服するのに役立ちます。自動化されAIを活用したアルゴリズムは、さまざまな基準を使用して、さまざまな言語、文字、データベースで人や組織、地名をすばやく正確かつインテリジェントに照合し、曖昧さを解消します。
最適ではないエンティティ解決
「エンティティ解決」とは、非構造化テキストに含まれる似たような名前のエンティティを区別し、それらの名称を公開ナレッジベースや組織が管理するナレッジベースのエンティティと照合するプロセスです。
なぜこの機能が重要なのでしょうか?エンティティ解決機能がなければ、B-1商用ビザを発行する国務省職員は、米国西部でキャンプをする予定のイギリス人歴史教師「Peter Smythe」と、カルテルとのつながりが深い麻薬密売人「Peter Smythe」を区別するのに苦労するでしょう。
最新のアイデンティティ照合プラットフォームが提供するエンティティ解決機能では、Peter Smytheと同じ名前の「別人」を区別するために、それぞれの名前に識別データが自動的に追加されます。これらの識別データには、年齢、性別、住所、メールアドレス、電話番号などがあります。識別データには、旅行者の家族、雇用情報、学歴も含まれる場合があります。
同様の機能によって、企業のアイデンティティも区別できます。似たような名前の企業がたくさんあるうえに、業界では一般的に頭文字やニックネームが使用され、「PennyLuck Pharmaceuticals」が「PennyLuck Drugs」と呼ばれるようなことがよくあります。たとえば、お気に入りのチェーンレストラン「Bobby D’s」で頻繁に食事をするとします。適切なアイデンティティ照合およびエンティティ解決ソリューションは、この頭文字を会社の正式名称である「Robert D'Amico Foods, Inc.」に関連付けることができます。


公開情報からの限られた情報
OSINTとは、公開されている情報 (PAI) または市販の情報 (CAI) から収集されたあらゆる情報を指します。このデータには、ソーシャルメディアの投稿、ニュース記事や動画、ウェブサイトに表示される情報などが含まれます。国境警備機関の職員は、最新のOSINTプラットフォームを使用して、国境を越えた違法行為の検出と追跡、調査対象となる個人やグループの動きの監視、リアルタイムの脅威情報と対応計画の入手が可能です。
OSINTプラットフォームは現在、特定の国境警備機関で使用されていますが、これらのシステムは旧式のものであることが多く、次のような問題があります。
- データ品質が低い: 検索されるPAIが不完全または古くなっている可能性があります。
- 不正確なデータ: 不適切にキュレーションされたPAIには誤り、偏見、矛盾があり、そこから導き出された分析情報の有効性に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 不十分なデータソース: 非常に多くのPAIシステムが限られた数のソースからデータを収集しているため、分析情報が限られています。
- データの量に対応できない: 膨大な量のPAIデータが生成されるため、一部のPAIシステムでは適切に検索、処理、分析しきれません。
PAIをリアルタイムで検索、監視、分析できる最先端のテクノロジーがなければ、国境警備機関は正当な旅行者の通過を容易にし、不審な人物の入国を禁止するために必要な情報を得られません。同時に、最新のOSINTプラットフォームは、国境の職員が潜在的な脅威と現在進行中の脅威の両方により適切に対処できるようサポートします。
サイロ化されたレガシーシステム
国境管理を統合する取り組みは、レガシーシステムがお互いにやり取りできないことでさらに妨げられています。1つの旧式のシステムが別のシステムとうまく連携できないため、旅行者や企業の事前審査に必要なデータを見つけて提示し、その結果を他の機関に伝えることができません。これらのシステムを交換したり、コミュニケーションを改善するためにシステムを改造したりするのには、莫大な費用がかかる可能性があります。
ここでソリューションとなるのが、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を介して機能する最新の名称照合・OSINTプラットフォームです。APIはそれぞれ、各機関の既存のシステムに追加されます。これにより、組織はアイデンティティ照合とOSINTを改善するために高価なシステムを交換する必要がなくなります。


スピード不足
多くの国境警備機関において、事務所から (ビザの申請プロセスの一環として) または国境の現場で名称を確認したりPAIを検索したりする際に、調査プロセスに時間がかかりすぎると指摘されています。古いテクノロジーでは観光と商業の遅れにつながります。さらに、入国地点での審査を担当する国境警備隊員は、旅行者1人の調査に数分しか時間をかけることができません。時間のかかる旧式のテクノロジーは、すでに困難な状況にさらに拍車をかけています。
AIを搭載した最新のアイデンティティ照合とOSINTプラットフォームは、調査プロセスを短縮します。テロ、麻薬密売、その他違法行為の兆候を示す可能性のある活動や情報の検出など、人間の調査員だと数時間、場合によっては数日かかる作業でも、AIなら数分で完了できます。
Babel Streetが選ばれる理由
Babel Street Match、モジュール、Insightsの各製品は、国境警備機関がより適切かつ迅速なアイデンティティ照合、エンティティ解決、OSINTのニーズを満たすのに役立ちます。これらの機能は、既存の国境警備の取り組みを強化し、各機関が統合国境管理を導入する準備を整えます。
AIを搭載したBabel Street Matchは、24言語を超える文字の名称を照合し、別名、ニックネーム、スペルミス、異なる順序で表記された名称を検出します。このプラットフォームは、アイデンティティを統合するため (数ある「Peter Smythe」の中から正しい「Peter Smythe」を見つけるため)、それぞれの調査対象の名称に識別データを追加します。同様の機能により、企業名をニックネームや頭文字、子会社の名前に結び付けることもできます。これにより、Matchは照合能力を向上させ、誤検出を大幅に減らし、調査時間を節約します。明確な信頼度スコアは、プラットフォームが2つの名前を「一致」または「不一致」とみなした理由をユーザーが理解するのに役立ちます。また、Matchでは、ニーズに合わせて照合パラメータを調整することもできます。
Babel Street Insightsは、インターネットのあらゆる層に広がる情報を収集します。分析する情報は、さまざまなウェブサイト (ディープウェブやダークウェブでホストされているものを含む) やソーシャルメディアサイトに加え、チャット、オンラインコメント、ソーシャルメディア投稿で行われた実際のやり取りから得られます。また、Insightsは、市販のソースから入手しエンリッチ化されたデータを集めた大規模で多様な独自のライブラリも検索します。このような検索を行ってデータを統合することで、Insightsはテキスト分析のエンティティ解決機能を補完し、非構造化テキストで見つかった名称を、公開ナレッジベースまたは組織が管理するナレッジベースに含まれるエンティティと照合します。
たとえ世界中の情報が入手できたとしても、国境警備職員が理解できない言語で表示されたのでは、何の役にも立ちません。これはニュース記事、ソーシャルメディアの投稿、その他のPAIにもはっきりと言えることで、名前も例外ではありません。「Владимир Путин」という名前が「ウラジーミル・プーチン」だと認識できるアメリカの国境当局者はほとんどいないでしょう。そのため、MatchとInsightsは自動的に名称を音訳し、さまざまな言語のコンテンツを翻訳します。これにより、国境警備機関の職員が世界中の名称を照合し、オンラインコンテンツを監視できるようになります。
前述のように、レガシーシステムとの相互運用性は、最新の国境ソリューションの導入を検討する際に大きな問題となります。当社のAPIベースのソリューションは、容易に導入が可能です。レガシーシステム上で動作することで、1つのアプリケーションやデータサイロから別のアプリケーションやデータサイロへの共有が容易になり、ユーザーは古いシステムを交換したり改造したりする必要がなくなります。
多くの場合、Match、モジュール、Insightsを使用することで、国境警備機関は次のことが可能になります。
- 国境での各種手続きの効率化
- アイデンティティ照合における誤検出と検出漏れの大幅な減少
- より詳細なコンテキストと理解に基づく脅威のスクリーニング
- 脅威へのより迅速な対応と解決
- 分析能力および協力体制の向上による、統合国境管理への道の開拓
- リスクと信頼性のギャップ、つまり国境を守るために調査しなければならないデータの量や種類の増加と、組織がそのデータの監視に利用できるリソースとの間に広がっている溝の解決
Babel StreetのAI搭載ソフトウェアは、大規模なデジタル環境全体から重要な情報を取得するために必要な名称照合とOSINT機能を、国境警備機関に提供します。米国の国家安全保障機関の84%、そして世界中の同様の機関が当社と提携しているのはそのためです。また、当社のソフトウェアが毎日5億回以上のウォッチリストチェックに使用されている理由もおわかりいただけるかと思います。
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文末脚注
1. U.S. Department of Homeland Security, “Border Security,” accessed February 2024, https://www.dhs.gov/publications-library/border-security#:~:text=Protecting%20our%20borders%20from%20the,economic%20prosperity%2C%20and%20national%20sovereignty
2. Gov.UK, “Border Force: About Us,” accessed February 2024, https://www.gov.uk/government/organisations/border-force/about#:~:text=Border%20Force%20secures%20the%20border,staff%20at%20ports%20and%20airports
3. Border Management Authority (South Africa), “About Us,” accessed February 2024, https://www.bma.gov.za/about-us/
4. The Centre for Security Studies, “India’s Border Management,” accessed February 2024, https://jgu.s3.ap-south-1.amazonaws.com/jsia/India's+Border+Management.pdf
5.U.S. Customs and Border Protection, “Traveler and Conveyance Statistics,” accessed February 2024, https://www.cbp.gov/newsroom/stats/travel
6.U.S. Department of State, “Report of the Visa Office 2022,” accessed February 2024,https://travel.state.gov/content/travel/en/legal/visa-law0/visa-statistics/annual-reports/report-of-the-visa-office-2022.html
7. Smith, Tony, “Bridging Borders: How AI and Public Information Sources Enhance Integrated Border Management,” Babel Street webinar, accessed February 2024, https://www.babelstreet.com/landing/bridging-borders-how-ai-and-public-information-sources-enhance-integrated-border-management
免責事項
All names, companies, and incidents portrayed in this document are fictitious. No identification with actual persons (living or deceased), places, companies, and products are intended or should be inferred.


